こんにちは

 

今日も昨日に続き、亡き姑の思い出を綴りたいと思います。

1月12日に享年98歳で突然逝った姑。

 

不思議な事に結婚した当初から高知と

千葉で離れて暮らしていたせいか、あまり姑という

意識はありませんでした。

結婚した当初は私も既に30歳。

それまでずっと仕事をしてきたせいか

向こうも嫁と言う意識がなかったのかもしれません。

翌年には子供も生まれ息子を通して「おばあちゃん」と

呼んでいるうちに、いつしか姑と言う感覚を通り越して

「おばあちゃん」という親しみ深い関係になっていました。

 

毎年、暮れになるとおばあちゃん自慢の白菜の糠漬けが

送られてきます。

大きな段ボール箱の中にビニールに包まれた白菜が

4つも5つも入っていました。

 

結婚した当初は白菜の糠漬けと聞いて驚きました。

何故ならそれまでは白菜と言えば塩漬け、それも

柚子を入れて漬けたものが一般的でしたから

白菜の糠漬けなど聞いたこともありませんでした。

夫にもちょっと嫌味を言った事を覚えています。

 

ところが普通に切って絞った白菜の上に細く刻んだ柚子の皮を

パラパラとおいて七味唐辛子とお醤油をかけて

食べた所、その美味しさに驚きました。

白菜の糠漬けは生まれて初めての味でした。

温かいご飯があればこの漬物だけで何杯でも

食べられるほどです。お茶漬けにもよし。

すっかりこのお漬物の虜になってしまいました。

 

いつしか自分達家族だけで食べるのは惜しいと思い

お漬物の好きな人におすそ分けしました。

 

すると思っていた以上の反応で

「美味しい、主人もすごくおいしいと言っていました。

ご飯がものすごく進みます」と言って喜んでくれたのです。

そして又、一軒、又一軒と差し上げるところが増え

その分、当然自分たちの分が減るわけですが、おばあちゃんの

苦心の糠漬けがみんなに知ってもらえたら嬉しい気がしました。

いつしか暮れの恒例行事のようになっていました。

 

2~3年位前には「歳だからもう今年は漬けるのも

無理だろう」と思っていたら、6年ほど前から

一緒に住んでくれている夫の妹がビニールに詰めたり

配送をやってくれて変わらずに届いていました。

昨年の12月も同様です。

届いたという電話だけすぐに入れて

改めて翌日、お礼と感想の電話を入れました。

「すごくおいしかったわ。美味しくてご飯食べ過ぎて

太っちゃいそう。本当に美味しい。これから毎日楽しみです。

又、みんなにおすそ分けしようと思って」と言うと

「皆に食べてもらいなさい」と言っておばあちゃんも

嬉しそうでした。

「でも凄いですね。変わりないですか?」

「わたしは元気よ。大丈夫」その声は96歳とは思えぬ

しっかりした声でした。

「この調子でいけば100歳までいけますよ」

と言うと「ハ ハ ハ」と笑ったのです。

それが私が聞いた姑の最後の声でした。

 

昔から電話で「体調はどうですか」と聞くと

「私は元気」それが口癖でした。

毎月近くの病院に検診に行き、そこで先生から

「山北さん、上等」と言われるのが嬉しく

又、自慢でもあったようです。

それを先生から「こう言われた」と周りに伝えるのも

嬉しかったのでしょう。

それを聞いて私もホッとしたものです。

 

30歳そこそこで未亡人になり、舅・姑

夫の兄の子供(父親は戦死・母親は病死)2人を引き取り

自分の子供2人と全部で6人の世話をしてきた姑。

そうした中、夜なべして和裁の仕立物をしてきた事を

想像するとどんなに大変だったかと思います。

その強さと逞しさが愚痴をこぼさす

人の悪口は決して言わず

無言でやることをやるといった前向きな姿に

なっていったのだと思います。

 

葬祭会館の控室に安置されている姑の顔を

見ながら、暮れに皆に食べさせようとたくさん

白菜の糠漬けを作ってくれたことを思い出していました。

 

 

暮れに胸が痛いという事でかかりつけの病院に

妹が連れて行ったところ、「お正月が入るので

大事をとって入院にしましょうか」という事で

そうしたのです。

 

年が明け高知駅の近くにある大きな病院に移り

検査をしたところ状態も良いので来週にでも退院

と言われていた矢先の出来事でした。

 

享年98歳ですから大往生と言えばそれまでです。

しかも長患いをしたわけでもなく

苦しんだわけでもなく妹が言うには

「病院に様子を見に行ったら元気で食欲もあり

来週退院と言われた」と言うくらいですから

老衰に近いのでしょう。

 

大量の白菜の糠漬けを作り

そこにすべてのエネルギーを注ぎ

皆に喜んでもらいながら静かに人生の幕を

閉じたのかとふと思いました。

 

眠るような顔を見ながら

「今までありがとうございました。お漬物

凄く美味しかった。みんなも喜んでくれて

おばあちゃんに感謝していました。本当に

ありがとう」そう言って再び布を顔にかぶせました。

 

 

※「亡き姑への思い」は続きます。